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新英語教育研究会神奈川支部HP

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■赤毛のアン『アンの青春』2019.12.9授業実践

■赤毛のアン『アンの青春』     2019.12.9
 2015年1月3日にNHKラジオ第2で市原悦子さん朗読の『アンの青春』(Anne of Avonlea)を聴き、夢を語り合うアンとギルバートの場面を知りました。The Project Gutenberg (www.gutenberg.net)を利用して教材化しました。
2019年12月9日の授業(生徒に対訳プリントとワークシートを配布。パワーポイントのスライドを使って教員が英文を読んですぐ和訳する「一人語り方式(読み聞かせ方式)」で25分程度)で3年次の生徒達が感想を書いてくれました。感想には「かっこいい」「すてき」「すばらしい」「認め合う」という言葉が多く見られました。「人類の歴史に思いをはせる」「身近な人々に思いをよせる」という2つのベクトル、言い換えれば人が生きていく上で指針となる2つの方向性がアンとギルバートの2人の短いやりとりに明快に示されています。生徒の感想を読みますと、生徒達がアンとギルバートの夢と自分の今とを照らしあわせ、心を動かしてくれたことがわかります。青春期にある高校生に読んでもらいたい名場面だと思います。

1)『アンの青春』の一節で気に入った文はどれですか?
  その英文を抜書きしてください+気に入った理由を書いて下さい。
 ギルバート:“A fellow has to fight something all through life"「男ってヤツは全生涯(ぜんしょうがい)を通じて何かと闘うことになっている」
■なんかかっこいい

 ギルバート:add a little to the sum of human knowledge[「人類の知識の総体」に少しでも付け加えたいんだ]
■男の夢のようなものだから。

 ギルバート:The folks who lived before me have done so much for me that I want to show my gratitude by doing something for the folks who will live after me. [僕の前に生きていた人達は僕の代わりに多くのことを(すでに)している、僕は僕の後に生きるだろう人々のために「何か」をすることによって感謝の気持ちを示したいんだ。]
■この考えを持った人がいないと今の時代の様々な物はなかったかもしれないし、この考えを持って自分も生きていたいから。
■すてきな思いを語っているから。

 ギルバート:that I want to show my gratitude by doing something for the folks who will live after me. [僕は僕の後に生きるだろう人々のために「何か」をすることによって感謝の気持ちを示したいんだ。]
アン:I’d love to make them have a pleasanter time because of me.[私は私が原因となって人々にもっと楽しい時間を持たせたいの。]
■対立した意見だけど、どちらもすばらしいことだと思うし、それを認め合って話しあえるのはステキなことだと思いました。

 アン:that would never have existed if I hadn’t been born.”
[それは私が生まれていなかったら存在しなかったような]
■生まれていなかったら存在しないという文の奥が深いなと思ったからです。

 アン:“I’d like to add some beauty to life.” 「私は人生に美しさを付け加えたいわ」
■アンの価値観や考え方にとても共感でき、すばらしい夢だと思ったからです。
■生き様がかっこいいと思えたから。
■生きる辛さを感じ続けるよりも生きる楽しみを見つけて、人生を素敵に思えるような文でした。
■同じだなと思ったから。

 アン:some little joy or happy thought「ちょっとの歓びや幸せな考え」
■ちょっとの歓びや幸せな考えという言葉が気に入りました。

 finger
■画面見た時に最初に見えたから。

 Anne was one of the children of light by birthright.
[アンは光の子どもだった 生得権で。]
■単純に単語がかっこいいと思ったから。

2)この文章を読んで、ギルバートの夢、アンの夢を知りました。あなたの夢・希望はなんでしょう。日本語でも英語でもOKです。
 こどく ※この感想を見て担任の先生に伝えました…。
 今、ちょうどギルバートとアンの人生観の間でゆれている状態です。だれか人のために生きられたらいいなという気持ちと、小さな幸せや楽しみを探しながらのんびり生きていく人生もすてきだなという気持ちがどちらも強くあるので、まだはっきりとは決められません。
 自分の夢をさがすことが夢(まだ夢がないから)。
 夢を持つ事。
 平和な世界
 京都を出る
 好きな事をして楽しむ。
 生きる
 楽しいことを広めていきたい。
 あなたと出会えてよかったと思ってもらえるような人間になりたいです。
 I want to be a singer-songwriter.
 IT関係の職につきたいです。
 料理人になることが自分の夢です。
 夢は昔から『保育士』です。でも他の職もかがやいて見えてあこがれてしまいます…。小さい子が好きです! 迷っているならゆっくりでもいいかなと思い、病気を治してから(良くしてから)夢を実現させたいと思っています。
 ふつうのしあわせをつかみたい。

3)今日の授業の感想を書いてください。
 英文の表現が良いと思った。
 けっこう楽しかった授業だった。
 アンもギルバートもとてもすばらしい考え方を持っているなと思いました。
 お互いの夢を語り合える様な仲はとても羨ましいと感じた。
 相手の意見を認めながら自分の意見も伝えられるってすごいことだと思いました。
 面白かったです。
 英単語のいい勉強になりました。
 長年人気を保つ名作である『赤毛のアン』を一部だけですが、読むことができてよかったです。これまで読んだことがなく朝ドラの『花子とアン』を少し見たことがあった程であったので、原作を読むきっかけにしようと思います。
 『赤毛のアン』をまた読みたいと思いました。
 『赤毛のアン』英語でも見てみたいです。
 夢について考えさせられた。
 夢の事など考えられたかなと思います。ありがとうございました。
 中村哲さんの話を始め、話していました。中村哲の話はおもしろかったです。
 素晴らしいという単語だけで英文はこんなにあるんだということを知りました。
※この感想は授業の初めに扱った映画『慕情』の主題歌Love Is a Many-Splendored Thingへの感想です。


★番外その1:Love Is A Many Splendored Thing   1955年アメリカ映画 『慕情』 和訳のみ掲載
愛は素晴らしいものである
愛は4月のバラ
早春にだけ育つ
愛は生きている理由を自然に与える
男を王様にする金の冠
かつて風の吹く高い丘の上で
朝靄(もや)のなかで
2人の恋人たちがキスして、世界はじっとしていた
そして君の指が私の黙っていた心に触れてどうやって歌うかを教えた
そう、本当の愛は素晴らしいものである

● 一言で「すばらしい」と言っても、その語源によってニュアンスが異なる。
1. wonderful ワぁンダフォ【形】 素晴らしい、不思議なwonder 【名】驚異
2. excellent エクセレントゥ【形】素晴らしい excel 【動】~より優れている
3. splendid スプレェンディドゥ【形】素晴らしい
4. many-splendored メェニィスプレェンダァドゥ【形】素晴らしい
splendor【名】壮麗、豪華
5. magnificent マグニィフィセントゥ【形】荘厳な magnify 【動】拡大する、神を賛美する
6. great グレェィトゥ【形】素晴らしい、偉大な
7. terrific テリィフィック【形】すごい、もの凄い terror【名】恐怖
8. fabulous ファビュラス【形】 素敵な[女性が好んで使う語] fable【名】寓話(ぐうわ)

★番外その2:新英研神奈川支部ブログ記事2015/12/29 大事なところで名前を呼ぶ
 昨日、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 (文春文庫)を読了したが、そのときに「大事なところで名前を呼ぶ」シーンがあって、「英語の世界ではやっぱり名前を呼ぶのは大事なんだな」と確信した。

抜粋(p.96):「(前略)しかし才能というのはな、灰田くん、肉体と意識の強靱な集中に支えられて,初めて機能を発揮するものだ。(後略)」
(この書き方、英語っぽいでしょう!)

村上春樹さんの小説は日本語で書かれているが、文体(スタイル)は英語だと思っている。そのまま英語に翻訳できる文体といってもよい。だから「大事なところで名前を呼ぶ」シーンが登場するのだと思った。日本語ではあまりそういう場面はないと思う。英語では名前を言ぶのは「いわゆる(so-called)」などの注意を喚起するシグナル(ディスコースマーカー)と同じ効果があるが、さらに心情的な効果が高い。名前を呼ぶのには勇気が要る。日本人の私たちはふだん、なるべくなら名前を呼ばすに、相手の心に踏み込まずに済ませたいような、そんな心性なのではないか。一方、英語の世界では名前を呼ぶことによって相手の心を鷲づかみにするというようなところがあるのではないか。

 『赤毛のアン』の一場面で、ギルバートが「アン」と呼びかけるシーンがある。「アン、…少しでも付け加えたいんだ、ってギルバートは言っていますね。これは大事ですよ! 『大事なところで名前を呼ぶ』んです!」と授業でも力説した。
 せっかく英語を学んだのだから、ここぞというときには勇気を出して名前を呼んでみようかな!
 備忘録として書いてみました。

★番外その3:新英研神奈川支部ブログ記事2019/12/09 ルター、学校へ行く(通信制高校6年目 その35):one of another ではなく、members one of anotherだった

今日の授業は2年前にしたものを再構成した内容。「アンの青春」の抜粋の中でone of anotherというフレーズが2年前に調べてもよく分からなかった。しかし、昨夜、理解できた。members one of anotherで検索すべきだったのだ。そしてそれは、聖書の一節だったのだ!「バラバラだけれど一つだよ」ということだった。

中村哲さんの話を踏まえて、ハンセン病は無知により差別が助長されたことをお話した。無知と病気はバラバラな問題ではなく一つなのである。

聖書「ローマ人への手紙」12章5節

New International Version
so in Christ we, though many, form one body, and each member belongs to all the others.

English Standard Version
so we, though many, are one body in Christ, and individually members one of another.

12:4
なぜなら、一つのからだにたくさんの肢体があるが、それらの肢体がみな同じ働きをしてはいないように、
12:5
わたしたちも数は多いが、キリストにあって一つのからだであり、また各自は互に肢体だからである。

●以下、授業で扱った抜粋(パワーポイントのスライド用英文):生徒に渡す対訳プリントとは異なる
The mention of college
gave a new direction
to Gilbert’s thoughts,
大学のことを言うことは
ギルバートの考えに
「新しい方向性」を与えてくれた。

and they talked
for a time
of their plans and wishes ...
gravely, earnestly, hopefully,
そして彼らはしばらくの間
自分たちの計画や望みに関して
真剣に、真摯(しんし)に、希望に満ちて、話した。

as youth loves to talk,
while the future is
yet an untrodden path
full of wonderful possibilities.
若者は話すのを好むものですから。
その一方で未来は
素晴らしい可能性でいっぱいの未踏の道である

Gilbert had finally made up his mind
that he was going to be a doctor.
“It’s a splendid profession,”
He said enthusiastically.
ギルバートは最終的に
ゆくゆくは医者になるのだという決心した。
「それはすばらしい職業だ」、
彼は熱狂的に言った。

“A fellow has to fight something
all through life…
didn’t somebody once define man
as a fighting animal?
「男ってヤツは全生涯を通じて
何かと闘うことになっている。
かつて、誰かが「男」を闘う動物として
定義しなかったっけ?

… and I want to fight
disease and pain and ignorance
… which are all members
one of another.
…だから僕は病気と痛みと無知と闘いたい。
それは別々で全ての構成要素である。

I want to do my share of
honest, real work in the world,
僕は、この世で自分が預かり持つ
誠実な本当の職務を行いたいんだ。

Anne … add a little
to the sum of human knowledge
that all the good men
have been accumulating
since it began.
アン… 、 人類の知識が始まって以来、
全ての善男子が蓄積している
人類の知識の総体に
僕は少しでも付け加えたいんだ。

The folks who lived before me
have done so much for me
僕の前に生きていた人達は
僕の代わりに多くのことを(すでに)している。

that I want to show my gratitude
by doing something
for the folks who will live after me.
だから僕は
僕の後に生きるだろう人々のために
何かをすることによって
感謝の気持ちを示したいんだ。

It seems to me
that is the only way
a fellow can get square
with his obligations to the race.”
それが男ってヤツが
人類に対する自分の責務に対して
キチンとなれる唯一の方法だと
僕には思えるんだ。」

“I’d like to add some beauty to life,”
said Anne dreamily.
「私は人生に美しさを付け加えたいわ」
アンは夢見るように言った。

“I don’t exactly want
to make people KNOW more …
though I know
that IS the noblest ambition…
「私は正確には人々に
もっと『知ら』しめたいのではない
そのことが最も高貴は野望なのであるとは
知っているけれども…

but I’d love
to make them have a pleasanter time
because of me . . .
そうでなく、私は私が原因となって…
人々にもっと楽しい時間を持たせたいの。

to have some little joy or happy thought
that would never have existed
if I hadn’t been born.”
私が生まれていなかったら存在しなかったような
「ちょっとの歓びや幸せな考え」を持たせたいの。

“I think you’re fulfilling
that ambition every day,”
said Gilbert admiringly.
「僕は君が毎日その野望を
果たしていると思うよ。」
と、ギルバートは感嘆するように言った。

And he was right.
Anne was one of the children of light
by birthright.
そして、彼は正しかった。
アンは生得権で光の子どもだった。

the owner of that life saw it,
for the time being at least,
as hopeful and lovely
and of good report.
その人生の主(ぬし)であるアンは
少なくとも当分の間は、
希望に満ちているもの、愛らしいもの、
そして評判の良いものとして
自分の「人生」を見なした。

Finally Gilbert rose regretfully.
最後にギルバートは心残りな感じで立ち上がった。

●以下、生徒に渡す対訳プリント
The mention of college
gave a new direction
to Gilbert’s thoughts,
and they talked
for a time
of their plans and wishes ...
gravely, earnestly, hopefully,
as youth loves to talk,
while the future is
yet an untrodden path
full of wonderful possibilities.

Gilbert had finally made up his mind
that he was going to be a doctor.
“It’s a splendid profession,”
he said enthusiastically.
“A fellow has to fight something
all through life…
didn’t somebody once define man
as a fighting animal?
… and I want to fight
disease and pain and ignorance
… which are all members one of another.
I want to do my share of
honest, real work in the world,
Anne … add a little
to the sum of human knowledge
that all the good men
have been accumulating
since it began.

大学のことを言うことは
「新しい方向性」を与えてくれた
ギルバートの考えに、
そして彼らは話した
しばらくの間
自分たちの計画や望みに関して
真剣に、真摯(しんし)に、希望に満ちて、
若者が話すのを好むものですから。
その一方で未来は
いまだに「未踏(みとう)の道」である
素晴らしい可能性でいっぱいの。

ギルバートは最終的に決心した↓
ゆくゆくは医者になるのだということ。
「それはすばらしい職業だ」、
彼は熱狂的に言った。
「男ってヤツは何かと闘うことになっている
全生涯(ぜんしょうがい)を通じて…
かつて、誰かが「男」を定義しなかったっけ
闘う動物として?
…だから僕は闘いたい
病気と痛みと無知と
…それが別々で全ての構成要素である。
僕は、自分が預かり持つ、
この世で「誠実な本当の職務」を行いたいんだ。
アン、…少しでも付け加えたいんだ
「人類の知識の総体」に
[(その知識を)全ての善(ぜん)男子(なんし)が
(今までに)蓄積(ちくせき)している
人類の知識が始まって以来。]



The folks who lived before me
have done so much for me
that I want to show my gratitude
by doing something
for the folks who will live after me.
It seems to me
that is the only way
a fellow can get square
with his obligations to the race.”

“I’d like to add some beauty to life,”
said Anne dreamily.
“I don’t exactly want
to make people KNOW more …
though I know
that IS the noblest ambition…
but I’d love
to make them have a pleasanter time
because of me . . .
to have some little joy or happy thought
that would never have existed
if I hadn't been born.”

“I think you’re fulfilling that ambition
every day,”
said Gilbert admiringly.


僕の前に生きていた人達は
僕の代わりに多くのことを(すでに)している
だから僕は感謝の気持ちを示したいんだ
「何か」をすることによって
僕の後に生きるだろう人々のために。
僕には思えるんだ
それが唯一の方法だと
男ってヤツがキチンとなれる
人類に対する自分の責務に対して。」

「私は人生に美しさを付け加えたいわ」
アンは夢見るように言った。
「私は正確には
人々にもっと『知ら』しめたいのではない
そのことが最も高貴は野望なのであるとは
知っているけれども…
そうでなく、私は
人々にもっと楽しい時間を持たせたいの
私が原因となって…
「ちょっとの歓びや幸せな考え」を持たせたいの
[それは私が生まれていなかったら
存在しなかったような]

「僕は君がその野望を果たしていると思うよ
毎日。」
と、ギルバートは感嘆するように言った。


And he was right.
Anne was one of the children of light
by birthright.
After she had passed through a life
with a smile or a word thrown across it like a gleam of sunshine
the owner of that life saw it,
for the time being at least,
as hopeful and lovely
and of good report.

Finally Gilbert rose regretfully.


そして、彼は正しかった。
アンは光の子どもだった
生得権で。
彼女が「人生」を過ごした後で
[笑顔や笑顔で投げかけられた言葉のある
日光のかすかな光のような]
その人生の主(ぬし)であるアンは「人生」を見なした
少なくとも当分の間は、
希望に満ち、愛らしいものとして
そして評判の良いものとして。

最後にギルバートは心残りな感じで立ち上がった。


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